【生成AIで提案の質を向上】Web制作の企画提案における生成AIの利用シーンと注意点

その他

「ChatGPT」の登場から数年が経ち、特にWebサービスやアプリケーション、システムにおいて生成AI(以下、AI)存在は欠かせないものとなりました。

Web制作においてもAIを活用することにより業務の効率化を図っているケースも多くなっていますが、企画提案のような上流工程において、AIは単なる「時短ツール」ではなく、「多角的な視点を持つパートナー」として活用するのが今のトレンドです。

本記事では、具体的な利用シーンと活用方法について整理しました。
あわせて、企業での利用にあたって注意すべき点として、データの取り扱いに関する対策についても解説し、弊社の取り組みをご紹介します。

企画提案のどのような部分にAIを利用するか

実務で特に効果が高い領域

  1. 企画の叩き台作成
  2. 競合分析の整理
  3. ペルソナ設計および導線設計
  4. 資料ストーリー構築
  5. SEO設計の初期整理

リサーチ・市場分析

企画の根拠となるデータの収集や整理にAIを活用します。

  • 競合分析: 競合他社のURLを読み込ませ、サイト構成、強み・弱み、ターゲット層を比較表形式で整理します。

  • ペルソナ設計: ターゲット像(年齢、悩み、行動パターン)をAIと「壁打ち」しながら対象を明確にしていき、具体的なニーズを深掘りします。

  • トレンド調査: 特定の業界における最新のデザインやUXのトレンドを要約し、提案の切り口として活用します。

コンセプト立案・アイデア出し

AIを活用して叩き台を作成することで、検討の深度を高める時間を確保します。

  • キャッチコピー案 「信頼感のある」「先進的な」「親しみやすい」など複数のトーンで案を生成し、方向性検討の材料とします。

  • サイトマップの構成案 目的(「採用強化」「リード獲得」など)を伝えて、必要なページ構成(ディレクトリマップ)の叩き台を作成します。

  • 差別化の壁打ち 「競合他社が実施していない独自施策は何か」といった問いに対し、AIをブレインストーミングの相手として活用します。

SEO戦略設計

SEO戦略設計における「キーワード戦略」は、AIが最も得意とする領域の一つです。
単なる単語の羅列ではなく、「検索ユーザの心理」と「サイトの構造(トピックの関連性)」を紐づける作業を劇的に効率化できます。

  • 関連語抽出: 従来のツールでは拾いきれなかった「ユーザが次に知りたいこと」を予測できます。

  • トピッククラスター設計: 「どの記事とどの記事を内部リンクで繋ぐべきか」という構造設計を支援してくれます。

  • AI検索への最適化(AIO): FAQのように、ユーザの質問に対して簡潔に回答する構成を設計し、AIに抽出されやすいコンテンツを構築します。

企画提案におけるAI利用のメリット、デメリット

AI活用のメリット(ポジティブな側面)

AIの最大の武器は、「圧倒的な処理速度」と「客観的な多角視点」です。

  • 工数の削減 従来、数日かかっていた市場リサーチや競合分析の叩き台作成が数分で完了します。これにより、企画立案者は「考える作業」に集中できます。

  • 「視点の漏れ」を防止 人間は経験や専門性により視点が偏りがちですが、AIは膨大なデータをもとに「ユーザが関心を持ち得る要素」を網羅的に提示します。これにより、多角的な観点からの検討が可能になります。

AI活用のデメリット(注意すべきリスク)

一方で、AIの特性を理解せずに活用すると、提案の質を下げたり信頼を失う可能性があります。

  • 情報の不正確さ(ハルシネーション): AIは、事実ではない情報をあたかも正しいかのように生成する場合があります。
    特に最新の市場データや特定の法律、専門的な技術仕様については、必ず人間によるファクトチェックが必要です。

  • 著作権とセキュリティのリスク: AIに読み込ませた情報が学習に利用されるリスクや、生成された画像の著作権が不透明な場合があります。これらに対しては、運用ルールの整備や法人向けプランの活用など、適切な対策が求められます。

企業でのAI利用には情報漏洩の対策が必要

AIは便利なツールである一方、使用方法によっては情報漏洩のリスクを伴うため、特に企業における利用には注意が必要です。
機密情報にあたるデータや個人情報を取り扱う場面において、ルール策定や慎重な運用が求められます。

例として、「ChatGPT」(無料版)および「ChatGPT Plus」(有料版)のデフォルト設定では、入力データが保存され、AIのモデル改善(学習)のために使用される可能性があります。
このため、なにげなく機密情報や個人情報などを入力してしまうと、知らないうちに第三者への回答に機密情報の一部が使用され、意図せずに情報漏洩が発生してしまうリスクがあります。
これまでにもAIが原因となった企業・組織における情報漏洩の事例は多く発生しています。

ここでは代表例として、「ChatGPT」における情報漏洩を回避するための対策をご紹介します。(AIツールごとに対策方法が異なりますのでご使用のツールについてご確認ください。)

「ChatGPT」をオプトアウト(学習させない)する方法

①設定画面を開きデータコントロールにある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする

②公式サイトのプライバシーポータルからオプトアウトの申請をする

設定画面からの学習させない設定よりも確実に学習を停止させたい場合は、OpenAIの公式サイト(プライバシーポータル)から「プライバシーリクエスト」を提出する方法があります。この方法でオプトアウトを申請することでデータがモデル学習に利用されることを防ぐことができます。

  1. プライバシーポータルへアクセス
  2. 画面右上の「Make a Privacy Request」ボタンをクリック
  3. 選択ボタンが表示されるので「I have a ChatGPT account」をクリック
  4. 「I would like to:」の項目から「Do not train on my content(私のコンテンツで学習しないでください)」を選択
  5. ログインを求められたら申請したいChatGPTアカウントでログインする
  6. 申請内容に同意する画面が表示されるので、「この申請は今後のデータに対して適用される」旨に同意するチェックボックスにチェックを入れ、居住国を選択してリクエストを送信する
  7. リクエスト送信完了のメッセージが表示されたら申請完了

その他の有効な対策

  • セキュリティが強化されている法人向けプランを利用する
  • 自社の利用ルール整備と周知を徹底
  • API版またはローカルLLMを使用する(環境の準備が必要)

弊社におけるセキュリティ対策の取り組み

弊社でも企画提案、要件定義、Web制作など幅広いシーンでAIやAIツールを活用して情報収集と業務効率の向上を行っておりますが、顧客情報および機密情報の保護を徹底するために使用については厳格なガイドラインを定めております。
これは雇用形態にかかわらず、全従業員が業務でAIを利用する場合に適用されます。

①利用可能なAIサービスを制限

  • AIサービスは会社が認可したものだけを使用する
  • 情報漏洩を防ぐための設定を必ず行い、設定ができないAIサービスは使用禁止
  • 利用するAIサービスは部署ごとに毎年申請と審査を行う

②禁止事項の設定(代表的なものを一部抜粋)

情報漏洩リスクに関する禁止

  • 顧客・企業に関する情報(企業情報、個人情報、契約内容、制作に関する情報、IPOに関する情報など)を入力すること
  • 社内の情報を入力すること
  • 業務の情報(機密情報、顧客からの情報、解析データ、認証情報など)を入力すること

法令・コンプライアンスに関する禁止

  • 著作権侵害の恐れがあるデータを扱ったり納品物へ使用すること
  • 出典や根拠が不明なAI出力を提案や提出物、公開情報などへ流用すること

品質・信頼性に関する禁止

  • AIの出力をそのまま「顧客へ納品」「社外へ送信」「提案に使用」すること
  • 不正確または誤解を招く可能性のある情報を含んだまま利用すること

ツール使用に関する禁止

  • 会社が許可していないAIツールを業務利用すること
  • セキュリティに関する設定をせずに、AIツールを利用すること

まとめ

AIやAIツールは使いこなせば強力なパートナーになります。
情報収集やデータ整理の圧倒的な速度とフラットな視点からの提示と対話による掘り下げは、提案の質を高めるための心強いサポートとなっています。

AIを活用するには使用者が特性を理解し、どのような用途に向いており何にどう使うかを工夫する必要があります。
さらに欲しい回答や精度の高い情報を出力させるにはプロンプトの知識などのテクニックも必要です。
この業界においてAIを使うことは一般的となり、今後は提案スキルとあわせて独自性のあるアウトプットを行えるAIスキルが強く求められるようになるでしょう。

AIは企画提案の際にとても便利ですが、特性やリスクをきちんと理解して利用することが重要となります。
メリットとデメリットを正しく理解してAIを頼れるパートナーとして活用するようにしましょう。

最後に改めてAI利用における注意点を挙げます。

  • 情報漏洩への各種対策を実施
  • 機密情報・重要情報を入力しない(AIツールの運用側で第三者の目に触れる可能性もあるため)
  • AIが出力したものは出典元の確認やファクトチェックを行う
  • 著作権侵害が起こらないよう注意を払う

弊社は「プライバシーマーク」を取得しており、社内でのAI活用においても個人情報保護をはじめとした適切な情報管理を徹底し、安心かつ実践的なご提案を行っております。
「他社による提案に満足していない」「幅広い調査と多角的視点による根拠のある提案がほしい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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